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iOS版でのみ提供していたReact NativeアプリのAndroid版をリリースした

September 22, 2020

React Native製の弊社アプリのAndroid版を先日リリースしました。 今回はReact NativeのAndroid版開発にあたって躓いたポイントと、その解決策を紹介します。 目次はこちら↓

1. PanResponderを使ったアニメーションがカクつく
2. 3rdパーティライブラリが動かない
3. React Nativeにバグがある

前提としてExpoではないピュアなReact Nativeプロジェクトを想定しています。

1. PanResponderを使ったアニメーションがカクつく

React Nativeにはドラッグやピンチなどのジェスチャーを扱う PanResponderというAPIがあります。 弊社のアプリではPanResponderを使ってTinderのようなカードを左右にスワイプする動きを実現しており、 iOSでは問題なく動いていたのですがAndroid上ではアニメーションがカクついたり、素早くカードを動かすと止まったりすることが発生していました。

そこで、PanResponderの代わりにsoftware-mansion/react-native-gesture-handlerを使ってジェスチャーを制御することで解決しました。

※詳しくは調べられていないですが、react-native-gesture-handlerはJSスレッドではなくUIスレッド上で実行されるためパフォーマンスに優れているようです。

2. 3rdパーティライブラリが動かない

iOSでは問題なく動いても、Androidでは正しく動かないライブラリがあります。 その場合はds300/patch-packageを使って、 postinstallのタイミングで問題のソースコードにパッチを当てると良いです。 patch-packageの使い方は以下の記事に詳しく書かれていたので参考にどうぞ。

かゆいところに手が届く!patch-packageでnpmパッケージを乗りこなそう - bagelee(ベーグリー)

余力ができたら修正PRを送りましょう。

3. React Nativeにバグがある

そもそもReact Native自体に問題があるケースがあります。 弊社の場合こちらのPRで述べられているバグに当たって、修正する他ない状況でした。

JSレイヤーやiOSの問題の場合は、問題の箇所を特定して前述のpatch-packageを使ってパッチを当てれば良いですが、 Androidのネイティブ層はビルド済みのjarファイル等を参照しているため ソースコードを修正しても反映されません。

そこで、以下の手順を踏む必要があります。

1. React Nativeのリポジトリのフォークを作成
2. フォークしたリポジトリでソースコードを修正
3. Androidのソースコードをビルドしてコミット
4. アプリケーションからフォークしたReact Nativeのリポジトリを参照

こうして書くと大変そうですが、公式の手順↓に詳しく書かれており 思ってたより簡単にフォーク版React Nativeを公開できました。

Building from source · facebook/react-native Wiki

おわりに

クロスプラットフォーム対応できるのがReact Nativeの1つの魅力ですが、 諸事情あって長らくiOS版でのみ提供していました。 今回無事にAndroid版をリリースできて良かったです。

DiscordのようにiOS版のみでReact Nativeを採用するケースもあるように、 Androidでのパフォーマンスに若干心配もしてましたが杞憂でした。 開発も力技なところはありましたが思っていたよりすんなりでき、今更ながらクロスプラットフォーム開発のありがたみを感じました。


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